5月のテーマ「新緑」を詠む
うらなり
埼玉県
緑さす京の町屋の奥座敷
<黛まどか 選評>
京町家は「うなぎの寝床」と呼ばれるように、間口が狭く奥行きが深い造りが特徴です。細長い造りの町家には、たいてい奥に明りとりの坪庭があります。この坪庭のお陰で風の流れもできるそうです。その坪庭の樹木が若葉をつけたのでしょう。奥座敷の畳に新緑の光が差し込み、冬の間は暗く寒かった奥座敷にも、夏の気配が漂っています。一切のレトリックも誇張もなく、京都の町家の風情がよく描写されています。
巴里乃嬬
日本国外
大原女とふたことみこと里若葉
- やうやつと九九を言へし子みどりの夜(風花まゆみ/北海道)
- 新緑や日の斑散らせる貴船川(風来坊/愛媛県)
- 青葉風開けつ放しの一軒家(星月夜/東京都)
- 水占の水に映れる若葉かな(竹葉/東京都)
- 緑さすベンチにひらく母子手帳(森本薫/大阪府 )
<黛まどか 総評>
大原女、回廊、貴船川、水占といった京都らしい風景を詠んだ句が多い一方で、九九を覚えた子供や開けっ放しの一軒家、母子手嘯など、どこにでもある風景を詠んだ佳句も目立ちました。いずれにしても、新緑の生命力や初夏のエネルギー、この季節の爽やかさを捉えていて、緑さす様々な風景が浮かび、読んでいて新緑の美しさに心が洗われるようでした。
今月の優秀句に選ばれたみなさまへ
優秀句(最優秀・優秀・入選)に選ばれた皆様には、京都にちなむ賞品を贈呈させていただくと共に、黛まどか主宰のオンライン句会にご招待させていただきます。以下のリンクよりご連絡先をお知らせください。
黛まどか主宰・オンライン句会
開催の予定
2021年7月