4月のテーマ「桜」を詠む
巴里乃嬬
日本国外
夜桜のよはくへ月のあがりけり
<黛まどか 選評>
桜が咲く夜に月が上がった様子を、〝夜桜の余白へ月が上がった〟と表現することで、夜空を埋め尽くすほどに咲き満ちる桜やその隙間に輝く幻想的な月までもが想像できます。切字「けり」を使った下五のゆったりとした措辞により、花の夜の美しさが際立ち、いつまでも余韻が残ります。また花月夜に身を置く作者の高揚した気分が、句の「余白」に自ずと顕れています。
村上ヤチ代
東京都
何時の間に失せし髪留め花疲
ふれぶる
京都府
花冷の京にピエロの大道芸
- 飛花落花疏水は遥か琵琶湖より(藤本花をり/京都府)
- さくらさくら一人去りまた一人去り(チャイ子/三重県)
- 一輪にして一大事桜咲く(山月 恍/東京都)
- 花人にならうと言つて連れだつて(彼方ひらく/岡山県)
- バイク便花トンネルはゆっくりと(赤間式部/山口県 )
<黛まどか 総評>
「さまざまの事おもひ出す桜かな」。皆さんの俳句を拝見していると芭蕉の句がしきりに思い出されました。桜月夜、失くした髪留め、大道芸、疎水に散る桜、初花、花見、花盗人、花のトンネルを行くバイク便…令和の世の〝さまざまの事〟が桜と見事に響き合っています。コロナ禍の今年の桜でしたが、国内外それぞれの地で桜を愛で、俳句を通して美しさを分かち合い、心を通わすことが出来ました。
今月の優秀句に選ばれたみなさまへ
優秀句(最優秀・優秀・入選)に選ばれた皆様には、京都にちなむ賞品を贈呈させていただくと共に、黛まどか主宰のオンライン句会にご招待させていただきます。以下のリンクよりご連絡先をお知らせください。
黛まどか主宰・オンライン句会
開催の予定
2021年7月