12月のテーマ「去年今年」
山田風柳子
東京都
響きあふ五山の鐘や去年今年
<黛まどか 選評>
京都五山とは臨済宗の五大寺で、南禅寺を別格とし、天竜寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺と定められています。大晦日の夜、まさに年が移り変わろうとする時にそれぞれの寺で除夜の鐘を撞き始めました。百八の煩悩を除き、人々の救済のために撞く鐘の音が、古都に響き渡ります。「響きあふ」という措辞には、鐘を撞く一人一人の思いや祈りが感じられ、鐘の音と共にその思いも揺曳しています。平明でありながら、京都の去年今年を時間軸と空間軸で表現した大きな句です。
ふみ女
京都府
なにくはぬ顔して来たる去年今年
クリームソーダ
愛知県
去年今年大路小路の灯りかな
- 去年今年炭継ぐ祖母の背のまろき(レーヌ・クロード/日本国外)
- 鐘の音を違へて京の去年今年(ふれぶる/京都府)
- 手に馴染むぐい飲みひとつ去年今年(デコポン/滋賀県)
- いっせいに港の汽笛去年今年(カカオ/福岡県)
- 去年今年乾ききつたる父の筆(柚子/大阪府)
<黛まどか 総評>
「去年今年」という捉えどころのないものを、音で把握した句、感覚的に表現した句、ゆく年くる年の京の町の様子、身辺にいつも通りにあるものに去年今年の機微を感受した句など、さまざまな去年今年の一齣がありました。どの句にも過ぎ去る年を惜しむ思いと、あらたに迎える年が平穏であってほしいと願う思いがさり気なく込められていて、しみじみとした気持ちになりました。
今月の優秀句に選ばれたみなさまへ
優秀句(最優秀・優秀・入選)に選ばれた皆様には、京都にちなむ賞品を贈呈させていただくと共に、黛まどか主宰のオンライン句会にご招待させていただきます。以下のリンクよりご連絡先をお知らせください。
黛まどか主宰・オンライン句会
開催の予定
2021年4月