11月のテーマ「時雨」
ふれぶる
京都府
しぐるるや京に迷子のしるべ石
<黛まどか 選評>
江戸時代、迷子になってしまった我が子を捜すために建立したのが「迷子しるべ石」です。 江戸や東海道の宿場町、京など、人が集まるところに建て、必死で子を捜す親の心が数百年という時を経て尚ひしひしと伝わってきます。京都には今もあちらこちらに「迷子しるべ石」が残っています。「しぐれ」は、比喩的に涙を流すことも言います。季語「しぐれ」との取り合わせにより、初冬の京の情趣と、哀感が漂います。
勝心
京都府
周山へ北山時雨抜けにけり
三日月
東京都
しぐるゝや御菜に効かす黒七味
- しぐるるや北山杉に音を立て(堀隼人/奈良県)
- 西陣の路地を違へて片時雨(中西杏/千葉県)
- 夕時雨きのふのものを煮返しぬ(典子/香川県)
- どんつきの塀の落書き初時雨(ことは/福井県)
- 知らぬ間に時雨過ぎたる京格子(有本仁政/愛知県)
<黛まどか 総評>
京都と若狭を結ぶ周山街道を押さえるために明智光秀が築いた周山城。忘れられた城跡には、今も野面積の石垣などが残り、京都で一度訪ねてみたいと思っている場所の一つです。「北しぐれ」を抜けて周山へという表現には様々な歴史や思いが重なります。また、西陣などいかにも京都らしい路地の一景としぐれとの取合わせの秀句が多く見られました。京都と言えば時雨、時雨と言えば京都…そして路地ですね。
今月の優秀句に選ばれたみなさまへ
優秀句(最優秀・優秀・入選)に選ばれた皆様には、京都にちなむ賞品を贈呈させていただくと共に、黛まどか主宰のオンライン句会にご招待させていただきます。以下のリンクよりご連絡先をお知らせください。
黛まどか主宰・オンライン句会
開催の予定
2020年12月 または 2021年1月